【高校サッカー】スポーツ推薦、出願のために必要な事前準備・基本知識

【高校サッカー】スポーツ推薦、出願のために必要な事前準備・基本知識

1. 高校サッカーのスポーツ推薦の基礎知識

1.1 スポーツ推薦とは?

スポーツ推薦とは、サッカーの実力や運動能力が優れている生徒に対して、高校入学時の推薦枠を与える制度です。

「強みを活かして進学したい!」、「学力に自信がない…」

といった場合でもスポーツ推薦によって入学することで、学業成績や一般入試よりも優位に入学できる場合があります。

スポーツ推薦を受けるためには、ある程度のサッカーの技術と実績が問われます。チームでの実績や成績などが評価されます。

誰でも出願できるわけではなく、学校によって必要な条件が定められています。また実技試験が課されることもあります。
ここではスポーツ推薦の大筋を紹介していきます。

1.2 スポーツ推薦の3種類の方法

このスポーツ推薦で高校入学をする流れは主に3種類あります。

①スカウト(主に~3年生前半)

実力や実績を見られ、高校からスカウトが来る。
強豪校からスカウトされるためには実績が重要であり、団体競技のサッカーでは県大会上位のメンバーであること、個人競技では都道府県大会ベスト8以上の成績や、また地区の選抜選手に選ばれるなどの実績があれば有利です。声がかかれば推薦枠を高校側が提供してくれます。
強豪校ではなかなかメンバーが集まらない年には基準が緩くなることもありますが、これは例外的なケースです。

スカウトされるためには、継続的な努力と実績の積み重ねが重要になります。

②セレクションや、練習試合等で自己アピールし推薦をもらう。(主に3年生~)

引退後、練習会・オーディション・練習試合等に参加し推薦を勝ち取る方法で。
直接行きたい高校にコンタクトを取り、希望することで練習参加ができます。また、顧問に願い出て、その高校と練習試合を組んでもらったり、練習に参加させてもらうという方法もあります。
しかし、その高校の特定の推薦枠が埋まってしまうと推薦をもらえなくなってしまいます。

「弱小校出身だけど自分の実力を見てほしい!」
「怪我などにより大会で本領発揮とはならなかった・出場できなかった」
といった実力者に向けた推薦枠と言えます。

③自己推薦、学校を通じての推薦

上記の2つでもダメだったが、それでも推薦入試を目指したい人は自己推薦に挑むことができます。
他の2つと異なり必ず合格するとは限りませんが、自身の実力や実績が各高校の一定の基準を超えていれば一般受験より有利に受験することができます。

自分の個性や強みを的確に伝えることができ、具体的な事例やエピソードを交えて語り、自信と説得力を持って自己アピール、志望動機やスポーツへの情熱、入学後・将来の目標について語ることができる人材に向けた受験方法です。

2. 出願、入試、合格発表時期の流れ

2.1 サッカー部・学校の決め方

選手や保護者はまず「どこのサッカー部」に入部するか出願の前に選ぶ必要があります。そこで、サッカー部・学校を選ぶ際に考慮すべき点を紹介して行こうと思います。

学校の立地
学校の地理的な位置は検討すべき要素です。通学の便利さやサッカーの試合や練習へのアクセスのしやすさを考慮しましょう。自宅から通学できるのか、入寮しなければいけないのか知っておく必要があります。

練習・施設
サッカー部の練習環境や施設も知っておきましょう。充実したトレーニング施設や良い人材を揃えた指導スタッフがいるかどうか、選手の性格・プレースタイルにマッチしているかなど、学校説明会などで見学・質問等をし、練習時間、頻度、試合のスケジュールなども確認しましょう。

口コミ・雰囲気
インターネットで調べればOBの口コミが見れることがあります。口コミには練習の雰囲気など選手の実際の声が聞けるので重要な情報になります。有名校であれば多くの口コミがインターネットで簡単に手に入れられるので一度調べてみるのもいいでしょう。

2.2 出願、入試、合格発表時期


公立の高校では、他の推薦入試の時期でもある1月上旬〜2月上旬に実施することが多いです。

一方、私立高校のスポーツ推薦については、各高校によって異なる日程で実施されます。そのため、私立高校への推薦を受ける場合は、その高校の日程を事前に確認しておくことが必要です。高校のウェブサイトや入試案内を参照し、日程や出願締切、面接やオーディションの日程などを確認しましょう。必要な書類や準備物を事前に用意しておき、必要な手続きや要件についても高校の指示に従い、正確に対応しましょう。

出願条件

スポーツ推薦で受験するには、都道府県教育委員会や学校ごとに定められた出願要件を満たしていなければなりません。またどのスポーツで募集を行うかは、高校ごとに異なります。

たとえば青森山田高校の推薦入学者選抜の推薦基準を一部抜粋して紹介します。

・生徒指導上問題がなく、健康な中学校生活を送り、調査書記載の「各教科の学習の記録」の評定に「1」がない者で、在学中学校長が適当と認めて推薦する者
・本校から特待生として認められた者
学業特待・・・・大学進学に対する意識が高く、入学後も意欲的に学習する者で、調査書記載の「各教科の学習の記録」の評定合計が110以上である者
部活動特待・・・中学校在学時の部活動等において優れた実績を残し、本校入学後も他の模範となり、その部活動を通じて、本校の発展に貢献することを期待できる者
引用:「令和六年度青森山田高等学校 生徒募集要項」|青森山田高等学校

募集要項及び願書一式

出願には「中学校長の推薦が必要」です。また出願基準は高校が別途定めています。強豪校ではそこに実績を求められることもあります。
また、紹介した青森山田高校のように評定の下限のある高校がほとんどです。

検査・試験科目

スポーツ推薦では、次の項目で検査が行われます。
調査書
面接(集団/個人)
実技検査
総合問題や作文・小論文
出身学校長の推薦書
作文・小論文
大会・コンクール等の実績

どの項目で検査するか・どの程度比重が置かれるかは学校ごとに異なります。

入試・合格発表時期

選抜試験や合格発表は一般選抜に先だって行われます。選抜試験は1月末〜2月上旬、合格発表が2月上旬には出そろうのが一般的です。

スポーツ推薦は一般選抜との併願が可能で、万一スポーツ推薦で不合格となっても、一般選抜への出願が間に合うスケジュールになっています。

3. スポーツ推薦のメリット・デメリット

3.1 メリット

スポーツ推薦を受ける上で受験勉強は重要でない

一般受験の一発勝負に向けての高額の通塾費用の用意や、勉強時間の確保をする必要がないので、高校入学までの時間もスポーツに専念することができます。
しかし、全く勉強をする必要がないわけではありません。上記の青森山田高校のように調査書の情報(評定)を判断材料にする高校も多いので、それが原因で推薦を受けられなくなることも考えられ、完全に受験勉強から解放されるわけではないです。

金銭面などが優遇される

スポーツ推薦での入学者全員が優遇されるわけではありませんが、高校や自治体にある一定の条件を満たせば入学金や授業料の補助をしてくれる高校も多くあります。
援助を受けるためには、調査書・将来性・面接試験・家庭の所得情報が重要になってきます、 高校によって基準は異なるので調べておくと良いでしょう。

他の部員より早く部活に馴染むことができる

入学が決まっている推薦入試生は入学を待たずして高校の練習に参加できることがあります。
練習雰囲気を感じたり先輩や顧問との人間関係の構築を他の部員より早く優位に進めることができます。

3.2 デメリット

部活を辞めにくい

1番のデメリットと考えられるのはやはりこれだと言えます。
スポーツ推薦では部活を入学後も続けるという条件のもと推薦されるので、スポーツ推薦で入学すると簡単には部活を辞められません。
もし途中で部活を辞めてしまうということがあれば、次年度以降の出身中学からの推薦入試に制限がかかってしまう可能性があります。

受験期、友人関係などの調整が難しくなる

スポーツ推薦で合格した人は他の一般受験をする人に比べ早く受験が終わりますが、他の受験生はまだ緊張感を持って入試の準備をしています。
自分だけ受験が早く終わったからといって周りの邪魔をしないでほしいといった空気もあるので一般入試が終わるまでは静かに過ごすことが求められます。

部活中心のライフスタイルになる

練習や試合に時間を割かなければならないです、また強豪校となれば練習量・試合は多くなってきてしまいます。推薦で入試したからには「結果」が求められ、趣味や勉強に当てる時間は少なくなってしまいます。

4. 推薦受験の事前に知っておくべき注意点

4.1 スポーツ推薦に向けての具体的な準備


推薦を受ける時、優れたスポーツ実績を持っていれば受験を優位に進めることができます。中学時代から真剣に練習に取り組み、大会や試合での成績を上げるために努力しましょう。継続的なトレーニングと経験は推薦で重要視される実技検査や調査書で他の受験生と違いを作れます。
また、スポーツ推薦を受ける際には、自己PRが重要です。自分の強みや成果、目標に対する意欲をまとめた文書を作成し、学校に提出する準備をしましょう。この文書もまた、スポーツ推薦の選考において肝心なものになります。

サッカーでの推薦の自己アピールにおいては、やはりスキルを高めることが重要です。テクニックやフィジカル、戦術的な理解など、自身のプレーを磨くために練習に取り組みましょう。コーチや指導者からのフィードバックを受け入れ、改善点を意識的に取り組むことが大切です。
高校によってはフィジカルが重要視されるかテクニックが重要視されるか、傾向のわかる高校もあるのでそれも念頭にトレーニングをしましょう。

また、出願には「中学校長の推薦」が必要です。指導者との関係構築や積極的な活動への取り組みをしておき、推薦を中学校からもらうための準備をしましょう。そして、進学したい学校のセレクション・練習会の情報があれば積極的に参加して高校から推薦をもらえるように行動しましょう。

4.2 推薦受験での注意点

部活や高いモチベーションを続けてや結果を出す覚悟が必要

先ほども説明したように、スポーツ推薦を利用して高校に入学する場合、少なくとも高校3年間は競技を続けていかなければなりません。また、常に競技で結果を出すことを求められます。練習やトレーニングで忙しく、学校生活を満喫できないこともあります。

下調べを入念に

高校によって募集要項などは異なるので、進学したい高校の募集要項・自分が出願条件を満たしているのか・場所・施設・校風などを理解しておきましょう。
また、練習会への参加が必要な高校にはしっかり参加できる時に参加する必要があります。
しっかり下調べしてから受験に挑みましょう。